命のある限り

私は、今とても辛い。
私の母は、病気で倒れてから20年以上入院している。
体も不自由になり、一番なりたくない状況になってしまっていたのだ。

元気だった頃の母はとても強く人のために心を砕く人だった。
自分にもとても優しかったが、人に対しても同じだ。
面倒のいい母である。

そんな母が、先日とても危険な状況になってしまった。
病院からは、意識があるうちに家族に会ってということから、兄や私を呼び出したらしい。
駆けつけてみると、確かにヤバそうだった。
体温は低いし、呼吸は乱れているし、意識はあるようなないいような・・・

体は長年寝ていたので、本当に小さくなっている。
信じられないくらい小さくなっている。
痩せ干せて小さくなっているのだ。

それを見ると、とても悲しい。
そして、命を落とさんばかりの不安定な状態。
母は何と思っているのだろうか?
私達が駆けつけて嬉しかったのだろうか?
私達が誰だか分かっているのだろうか?

だけど、母はずっと命を授かった者の宿命である生きるということに忠実に従ってきたのではと思う。
今、もしかしたらという事態であるが、それが私には分かる。
いろいろとあったが、母はどう感じて生きてきたのだろうか?
ずっと、病室の天井しかみていない母は生きるとはどういうことか考えていたのだろうか?

ずっとそれが気になる。
私は、どんな状態でも、生きていて欲しいと願ってきた。
それが本当によかったのかどうかは永遠にわからないだろうけど、一つだけは言える。

普通に生きていられることが一番幸せなことなのだと。
命ある限り生きようと思える今の自分はなんて幸せなんだろうか?
歳をとったなんて関係ない。
仕事がどうこうなんて関係ない。
人間関係がどうのこうのなんて関係ない。
命があればこそ、ぶち当たる壁や障害。
そんなことは、母を見ているととても小さいことに思える。

私は、命ある限りずっと走り続けるだろう。