解雇しやすい特区

「解雇しやすい特区」が秋の国会に法案を提出するらしい。
名称からして、労働者から見ると、なかなかキツい名称かもしれないな。

この特区の一番の目的はなんだろうか?
この特区の企業の条件は、特区内にある開業5年以内の事業所や、外国人労働者が3割以上いる事業所が対象だという。
国家戦略特区というわけで、企業の競争力の強化っていう路線に乗っているのかもしれない。

労働基準法に基づかない労働条件(企業主導)、残業代0円そして、解雇も自由というなんとも労働者の保護なんて考えはない特区」

面白いとは思う。
今、企業は、どんな不景気でも、簡単に人を解雇できない。
会社の存続という観点から必要であってもそれを実行できない。
実行するとなると、退職金上乗せなど、金がかかって仕方がないのだ。
高い法人税を払って、法人という理念で社会貢献・・・突き詰めれば、人の人生を豊かにする義務ってやつをやらなくてはならない。
新たの事業を起こしたくても、資金繰りが厳しく、無駄な人件費で経費がかさみ、身動きが取れなくなってしまった企業たち・・・


企業の危機を乗り切る手段の一つとしてはリストラがある。
資金がないなら、コストカットするか、資産売却しかないのだから仕方がない。
しかし、先に書いたように法人理念、労働基準等々で、思うようにコストカットがなかなかできずにもがいているのも事実なのではないかと思う。
だから、技術は持っていても海外の企業との競争に負ける日々が続いてしまっている・・

しかも、今や日本が誇る技術を持つ企業も、中国の企業に買収されたり、資金の融資を受けたり・・・これは、日本国にとっては存亡に関わる重大なことなのだ。
特に、気前よく技術供与した隣国なんて一番の問題だ。

歴史は、語っている。
経済力、政治力、軍事力・・・このいずれかの力が強大なうちは侵略されない。
しかし、その力が衰えたとき、侵略は始まるのだ。
中国、韓国、ロシアがそのいい例だろう。
民主党時代、日本の外交のカードが友愛なんて間抜けなことを言い始めたからそれからが大変だったのはご承知の通り。

日本の軍事力は、世界トップクラスらしい。
しかし、軍事力は、侵略の抑止にはある程度なっても、最終的には戦争になってしまう。
政治力は、少しずつ強くなっていると思うが、まだまだ、欧米の言いなりになっているのでは強いとは言えない。
残るのは、経済力。
平和な戦いで世界を席巻するには、今の日本を支えるのは経済力しかないのだ。
その経済力がここ20年失われていた。
だから、大鉈を振ってでも、経済力を増強させ、強い日本を造らねばならない・・・というのが簡単に書くと政府の思惑なのではないかなと思う。
経済力増強するには、日本企業が力を付ける必要があるのだ。
80年代、日本の製品が世界を席巻したときがある意味、経済のピーク(企業力のピーク)だったのかもしれない。
成長の一途だったから。

しかし、今は違う。
バブルも弾けて、世界の市場に振り回されて日本を代表する企業が次々と力を失ってしまっていった。

となると、死に体の企業を復活させるには、コスト低減、高い税金の排除そして、その手法を徹底させなくてはならない一つになっている。
となると、その手法とは、いらない人材は容易に棄てることができる、そしてそれは、コンプライアンスに縛られない・・・
それが、「解雇しやすい特区」に存在させる企業になるのだ。

これは、まだモデルケースで、政府の本音は、大手企業そのものに適用することにある。
特に、工業系の企業なんて大喜びなんじゃないかな。
政府だけではなく、経済界の思惑も大きく加味されていることは間違いないだろうね。

かなり、解雇ということから、大手企業の思惑まで思い切り引っ張ってみたが、無論、先に書いただけのことではないだろう。
別の思惑も当然あると思う。

いずれにしても、確実に言えることは、我々、企業で働くサラリーマンは、のんびりしていては、稼ぐのが難しい時代になって行くということである。

しかーーーーし、逆に自分次第でいくらでも好きなことができるようになる、起業しやすくなるというメリットもある。
雇ってもらえないなら、雇うほうになればいいだけのことだと思う。

まだ、表題から推測するしかないので、何とも言えないものだが、近い将来必ず、解雇しやすい(されやすい)格差社会になるのは間違いないだろう。